1 求人票・求人広告との明示義務

Q 求人票・求人広告に記載されていた労働条件と実際の労働条件が違っていた。

 

A 求人票・求人広告に記載された労働条件は直ちに労働契約の内容にはならない。求人票・求人広告の内容だけでなく、採用時の労働条件通知書の確認が必要。

 

 

法律のポイント

労働条件の明示(労働契約締結時には、賃金・労働時間等に関する事項については書面による明示)は求人時・採用時にも義務づけられている
(職業安定法第5条の3、労基法第15条)。

 

解 説

<求人時> 労働条件の明示

公共職業安定所及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、求人者等に対して、労働条件の明示が義務づけられている。求人票・求人広告に記載された労働条件は、使用者が労働条件を示して労働契約の申込みを誘因するものであり、直ちに労働契約の内容になるものではない。しかし、裁判例より労働契約締結の際に労働条件が明示されていなければ、当事者間においてそれと異なる合意をするなど特段の事情がない限り、求人票・求人広告に記載された労働条件が労働契約の内容となると解されている(職業安定法第5条の3)。

 

罰則

「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれらに従事した者」に対して、6ヶ月以下の懲役および30万円以下の罰金。(職業安定法第65条)
就業場所や労働時間、賃金、休暇などの労働条件がはっきり明示されていないと理解のくい違いなどからトラブルとなりかねない。次の事項は書面で明示しなければならず、本人へ交付することは事業主の義務である(労基法第15条)。

 

<採用時>労働条件の書面明示

①労働契約の期間に関する事項
( 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項も含む)
②就業の場所及び従事する業務に関する事項
③ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を越える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに就業時転換に関する事項
④ 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
⑤退職に関する事項(「解雇の事由」を含む)
罰則
労基法による労働条件の明示義務違反は30万円以下の罰金。

 

パートの場合

上記の明示義務はパートも同じで、就業規則か雇入通知書または書面によることが義務づけられている。パートの場合は、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」についての文書交付が義務であり(パート法第6条)、違反した場合は10万円以下の過料(パート法第47条)。

 

青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について

若者雇用促進法にもとづき、新卒者の募集を行う企業に対しては、企業規模を問わず、幅広い情報提供を努力義務とし、応募者または応募の検討を行っている者から求めがあった場合は、3類型ごと(下記参照)に1つ以上の情報提供が義務づけられている(2016年3月1日施行)。

 

事業主による職場情報提供の義務化

①募集・採用に関する状況
(例)過去3年間の採用者数および離職者数
 平均勤続年数
 過去3年間の採用者数の男女別人数
②企業における雇用管理に関する状況
(例)前年度の育児休業の取得状況
 前年度の有給休暇の取得状況
 前年度の所定外労働時間の実績
 管理職の男女比
③職業能力の開発・向上に関する状況
(例)導入研修の有無
 自己啓発補助制度の有無

 

参照条文
労基法第15条、第89条 労基則第5条 パート法第6条、第47条 パート指針